電車の中の意地悪な人と優しい人
朝の混雑している車内。
どうしても足を動かしてくれない男がいた。
どうしても奥に詰めたくない男。
私は足の位置を動かしてバランスをとりたいのに
男が一ミリも動かしてくれないので
そのまま電車の揺れに合わせて
男側に倒れるしかなかった。
足は一ミリも動かさず、身体はよけようとする男。
ああいう人たまにいるけど、なんなんだろう。
少し奥に詰めてくれればいいのに
自分がこれ以上奥には絶対行かないと心に決めている
もしくは
空いている側の空間をどうしても確保したい人。
倒れながら、私の靴にくっついている
一ミリも動かない
隣の足元をみると真っ白いスニーカーだった。
絶対に動かない真っ白いスニーカー。
と、その時、
とっさに私の右腕をつかんだ人がいた。
私が倒れこまないように
斜め右後ろの男の人がひっぱってくれたのだ。
心の中で
きゃー、すてきー (*^-^*)
と思った。
なんてかっこいー人なの~!
顔は一切見ていないけど
好きになりそうー!笑
「ありがとうございます
すみません」
と、恥ずかしいから
内緒の時の、音を出さない声で
言った。
でもまわりはシンとしているので
私の内緒の声は、
周りの人みんなに聞こえたと思う。
私がかわいくて若かったら
にっこり微笑んでお礼をいって
その人に喜んでもらうところだけど、
若くもなくて、かわいくもないから
その優しい人をがっかりさせたくなくて
下を向いたまま言った。苦笑。
この時ばかりは
若くてかわいい女子でいたかったなぁ。
私の音のない声はきっと
白いスニーカーの意地悪男にも聞こえたと思う。
その後、そいつは私から離れた。
恥ずかしいと思ってくれているといいな。
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